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エピソード3: メディナの嘘つき少年
首都チュニスの大通りハビブ・ブルバギ通りの風景を見ていると、まるで自分がアラブ系住民の多いフランスの地方都市でも歩いているかのように錯覚してしまう。ここは正真正銘アフリカの大地なのに。街の両側にはフランス風のカフェが並び、ブルバギ通りにはとても立派な教会まである。教会のステンドグラスはパリのサンジェルマンデプレの教会の内装を思わせる。
さて、このメディナには有名な嘘つき少年がいる。観光客相手に「写真を撮るのにとてもよいバルコニーがすぐそこにある」と話し掛けてくる。彼の「すぐそこ」という言葉を聞いて「まあ見てみるか」とついて行くと迷路のようなメディナの細道を右へ左へと帰り道がわからなくなるまで歩く羽目になってしまう。バルコニーがあるという建物にたどり着いたが2階に絨毯屋が入っているのが見えたので「絨毯は家にたくさんあるからいらないよ」と念を押した。
実にうまい切り口だが、ここまで連れて来てくれたお駄賃としてみやげ物屋の香水の小瓶を一つぐらい買ってあげてもいいか、と思いつつ彼の後をついていった。それほど歴史的な価値のある建物かどうかはわからないような学校に来ると例の香水を売っているというお兄さんの店も紹介された。「お兄さんのわりには年が離れていて顔も似てないね」と一言釘をさすと、お兄さんとやら人が待ったなしに商売を始めた。「どの香水が欲しいのか」、と。 フランス門の近くにあるお店で銅のお皿を買うことにした。親切そうなチュニジア人の店のオーナーに、今日会ったその少年について聞いてみた。多分メディナの中では有名な嘘つき少年だと思ったからだ。「ああ、あいつはいつも観光客相手にそうなんだ。もう一人の人はお兄さんじゃないし。そこで香水を買わせることであの少年は手数料を稼ぐのさ」まあ、勿論そんなことであろう。 |
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